- ひとり日和 (河出文庫)
- 発売元: 河出書房新社
- 発売日: 2010/3/5
読書会の課題本ということで、青山七恵『ひとり日和』(2010年)を読了しました。
第136回芥川賞受賞作です。
- 春夏秋冬の構成で、主人公の成長を描いている。
- 春夏秋冬という循環構成で、主人公の成長物語ではない。
読書会では、『ひとり日和』を主人公の成長物語として解釈できるかどうかで、参加者によって意見が分かれました。
同じ作品でも、読み手に真逆の印象を与えているとは、面白いですね。
手に入れては投げ出し、投げ出され、投げ出したいものはいつまでも一掃できず、そんなことばっかりで人生が出来ている。(青山七恵『ひとり日和』)
わたしは、主人公と彼女を取り巻く若者の人間類型に、<断絶した「個」>を、強く感じました。
「春夏秋冬」そして「春の手前」という構成は、円環的世界観を暗示させます。確かにイニシエーションのパターンにあてはまるけれど、本当に主人公は成長したのでしょうか?
わたしには、完璧な機会を与えられながら、それを拒み続けたように感じられました。
したがって、単純なビルドゥンクス・ロマンではないと思うのです。
読了日:2007年6月16日