2007/06/17

青山七恵「ひとり日和」

ひとり日和 (河出文庫)
  • 発売元: 河出書房新社
  • 発売日: 2010/3/5

読書会の課題本ということで、青山七恵『ひとり日和』(2010年)を読了しました。
第136回芥川賞受賞作です。

  • 春夏秋冬の構成で、主人公の成長を描いている。
  • 春夏秋冬という循環構成で、主人公の成長物語ではない。

読書会では、『ひとり日和』を主人公の成長物語として解釈できるかどうかで、参加者によって意見が分かれました。
同じ作品でも、読み手に真逆の印象を与えているとは、面白いですね。

手に入れては投げ出し、投げ出され、投げ出したいものはいつまでも一掃できず、そんなことばっかりで人生が出来ている。(青山七恵『ひとり日和』)

わたしは、主人公と彼女を取り巻く若者の人間類型に、<断絶した「個」>を、強く感じました。
「春夏秋冬」そして「春の手前」という構成は、円環的世界観を暗示させます。確かにイニシエーションのパターンにあてはまるけれど、本当に主人公は成長したのでしょうか?
わたしには、完璧な機会を与えられながら、それを拒み続けたように感じられました。

したがって、単純なビルドゥンクス・ロマンではないと思うのです。



読了日:2007年6月16日

2007/06/03

イギリス文学の名作を読みたい

イギリス文学の読書計画です。読了本は、感想記事にリンクしています。
(読みたい本の優先順位が高いものに★)
2012年2月16日現在

【古英語・中英語の文学】
  • 『ベオウルフ』
  • チョーサー(1340-1400) : 『カンタベリー物語』★

【ルネサンスの散文と詩と演劇】
  • モア(1478-1535) : 『ユートピア』★
  • シェイクスピア(1564-1616) : 『ソネット集』、 『リチャード三世』、 『ロミオとジュリエット』★、 『夏の夜の夢』、 『ヴェニスの商人』、 『ヘンリー四世』、 『ヘンリー五世』、 『ジュリアス・シーザー』、 『十二夜』、 『お気に召すまま』、 『ハムレット』★、 『オセロゥ』、 『マクベス』、 『尺には尺を』、 『あらし』 

【清教徒革命~王政復古】
  • ベイコン(1561-1626) : 『随筆集』
  • ベン・ジョンソン(1572-1637) : 『十人十色』、 『ヴォルポーニ』、 『連金術師』
  • ミルトン(1608-1674) : 『失楽園』★、 『復楽園』、 『闘技者サムソン』
  • バニヤン(1628-1688) : 『天路歴程』★

【18世紀初期~19世紀初期】
  • スウィフト(1667-1745) : 『ガリヴァー旅行記』★
  • デフォー(1660-1731) : 『ロビンソン・クルーソー』
  • リチャードソン(1689-1761) : 『パミラ』、 『クラリッサ』
  • ウォルポール(1717-1797) : 『オトラント城』
  • メアリー・シェリー(1797-1851) : 『フランケンシュタイン』
  • オースティン(1775-1817) : 『分別と多感』、 『ノーサンガー・アビー』、 『高慢と偏見』★、 『エマ』、『説得』、『マンスフィールド・パーク』

【ロマン主義時代】
  • ブレイク(1757-1827) : 『無垢の歌』、 『経験の歌』、 『天国と地獄の結婚』
  • ワーズワス(1770-1850) : 『不死のオード』、 『抒情歌謡集』、 『序詩』
  • コールリッジ(1772-1834) : 「クブラ・カーン」
  • バイロン(1788-1824) : 『チャイルド・ハロルドの遍歴』
  • シェリー(1792-1822) : 『縛めを解かれたプロメテウス』、 「西風に捧げるオード」
  • キーツ(1795-1821) : 『エンディミオン』、 「ギリシアの壺のオード」、 「ナイチンゲールに捧げるオード」
  • スコット(1771-1832) : 『湖上の麗人』、 『アイヴァンホー』

【ヴィクトリア朝時代】
  • ワイルド(1854-1900) : 『ドリアン・グレイの肖像』★、 『まじめが大切』
  • ディケンズ(1812-1870) : 『ボズのスケッチ』、 『ピクウィック・ペーパーズ』、 『オリヴァー・ツィスト』、 『ニコラス・ニクルビー』、 『デイヴィッド・カパフィールド』、 『骨董屋』、 『クリスマス・キャロル』、 『二都物語』、 『大いなる遺産』
  • サッカレー(1811-1863) : 『虚栄の市』
  • シャーロット・ブロンテ(1816-1855) : 『ジェイン・エア』★
  • エミリー・ブロンテ(1818-1848) : 『嵐が丘』★
  • ジョージ・エリオット(1819-1880) : 『ミドルマーチ』
  • ハーディ(1840-1928) :『テス』、『日蔭者ジュード』

【第二次大戦後まで】
  • ヘンリー・ジェイムズ(1843-1916) : 『ある淑女の肖像』
  • コンラッド(1857-1924) : 『闇の奥』
  • ウルフ(1882-1941) : 『ダロウェイ夫人』、 『灯台へ』★、 『波』
  • ジョイス(1882-1941) : 『ダブリン市民たち』、 『若き芸術家の肖像』★、 『ユリシーズ』★
  • キャロル(1832-1898) : 『不思議の国のアリス』、 『鏡の国のアリス』
  • E.M.フォースター(1879-1970) : 『インドへの道』
  • イエイツ(1865-1939) : 『責任』、 『クールの白鳥』、 『塔』
  • エリオット(1888-1965) : 『荒地』
  • モーム(1874-1965) : 『人間の絆』★
  • ロレンス(1885-1930) :『チャタレー夫人の恋人』
  • オーウェル(1903-1950) : 『動物農場』、 『1984年』
  • ゴールディング(1911-1993) : 『蝿の王』

2007/06/02

ロシア文学の名作を読みたい

ロシア文学の読書計画です。読了本は、感想記事にリンクしています。
(読みたい本の優先順位が高いものに★)
2012年2月21日現在


  • プーシキン(1799-1837):『エヴゲーニイ・オネーギン』、 『ベールキン物語』★、 『スペードの女王』★、 『青銅の騎士』、 『ボリース・ゴドノーフ』、 叙事詩多数

  • グリボエードフ(1795-1829):『知恵の悲しみ』

  • レールモントフ(1814-41):『現代の英雄』★、 『帆』、 『悪魔』、 『ムツィリ』

  • ゴーゴリ(1809-52):『死せる魂』★、 『ジカーニカ近郷夜話』、 『鼻』、 『狂人日記』、 『ネフスキイ大通り』、 『外套』、 『査察官』、 『ヴィー』

  • トゥルゲーネフ(1818-83):『猟人日記』、 『ルージン』★、 『アーシャ』、 『父と子』★、 『初恋』、 『貴族の巣』、 『その前夜』、 『余計者の日記』、 『シチグロフ群のハムレット』

  • ゴンチャローフ(1812-91):『オブローモフ』★,『日本渡航記』

  • ゲルツェン(1812-1870):『誰の罪か』

  • チェルヌィシェーフスキイ(1828-89):『何をなすべきか』★

  • トルストイ(1828-1910):『幼年時代』、 『戦争と平和』、 『アンナ・カレーニナ』、 『コサック』、 『懺悔』、 『イワン・イリイチの死』、 『クロイツェル・ソナタ』、 『神父セルギイ』、 『悪魔』、 『復活』、 『家庭の平和』、 その他民話

  • ドストエーフスキイ(1821-81):『貧しき人々』★、『分身』、 『百夜』、 『死の家の記録』、 『地下室の手記』、 『罪と罰』、『白痴』、 『悪霊』、 『未成年』、 『おかしな人間の夢』、 『カラマーゾフの兄弟』

  • ガルシン(1855-88):『赤い花』、 『信号』、 『四日間』

  • チェーホフ(1860-1904):『ともしび』、 『犬を連れた奥さん』、 『可愛い女』、 『決闘』、 『六号室』、 『いいなずけ』、 『かもめ』★、 『ワーニャ叔父さん』★、 『三人姉妹』、 『桜の園』

  • ゴーリキイ(1868-1936):『チェルカッシ』、 『小市民』、 『どん底』★、 『母』、 『二十六人の男と一人の女』、 『秋の一夜』

  • ザミャーチン(1884-1937):『島の人々』,『われら』★

  • ソルジェニーツィン(1918-2008):『イワン・デニーソヴィチの一日』、 『クレチェトフカ駅の出来事』、 『マトリョーナの家』、 『胴巻のザハール』、 『ガン病棟』、 『煉獄の中で』、 『風にゆらぐ燈火』、 『鹿とラーゲリの女』、 『収容所群島』


2007/06/01

このブログについて

管理人 : みか


ご訪問ありがとうございます!
こちらのブログは、本好きの管理人が、読んだ本の感想を書いています。
ブログタイトルの由来は、宮澤賢治の『春と修羅』に収められている詩「真空溶媒」(Eine Phantasie im Morgen)より。

コメント機能・トラックバック機能はオフにしていますが、本を通じて、皆さんとの交流を深めたいと思っています。
読書メーターに登録していますので、お気軽にコメント・メッセージくださいね。


ロシア文学が大好きです。
2012年2月から、ロシア語の勉強を始めました。
いつか、ロシア語原文で、ドストエフスキーやトルストイを読みたいです。

2011年から、読書会の活動に力を入れています。
最近は、読書会の課題本を中心に、感想を書いています。

★読書会記録

2020年10月マルセー・ルドゥレダ『ダイヤモンド広場』
2020年8月ティム・オブライエン『本当の戦争の話をしよう』
2020年6月大岡昇平『俘虜記』
2020年4月ウィリアム・フォークナー『熊』
2020年2月多和田葉子『献灯使』
2019年12月オルガ・トカルチュク『逃亡派』
2019年8月トニ・モリスン『青い眼がほしい』
2019年8月ジュリー・オオツカ『屋根裏の仏さま』
2019年6月ギュスターヴ・フローベール『三つの物語』
2019年5月イザベル・アジェンデ『精霊たちの家』
2019年3月クリシャン・チャンダル『ペシャーワル急行』『アンヌ・ダーター』
2019年2月織田作之助『六白金星・可能性の文学』
2019年1月マリーズ・コンデ『わたしはティチューバ~セイラムの黒人魔女』
2018年12月村上春樹『神の子どもたちはみな踊る』
2018年10月ミロラド・パヴィチ『ハザール事典』
2018年8月石牟礼道子『椿の海の記』
2018年6月アントワーヌ・ド サン=テグジュペリ『戦う操縦士』
2018年4月ザカリーヤー・ターミル『酸っぱいブドウ/はりねずみ』
2018年3月芥川龍之介『奉教人の死』『きりしとほろ上人伝』
2018年2月坂口安吾『桜の森の満開の下』『夜長姫と耳男』
2018年1月エミール・ゾラ『水車小屋攻撃』
2017年12月カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』
2017年10月ルイジ・ピランデッロ『月を見つけたチャウラ』
2017年9月ガッサーン・カナファーニー『ハイファに戻って/太陽の男たち』
2017年7月シャルル・バルバラ『赤い橋の殺人』
2017年6月宮本常一『忘れられた日本人』
2017年5月バルガス・リョサ『密林の語り部』
2017年4月和辻哲郎『埋もれた日本』
2017年3月津島祐子『狩りの時代』
2017年1月ナディン・ゴーディマ『ジャンプ』
2016年12月アープレーイユス『黄金の驢馬』
2016年10月ハインリヒ・ハイネ『流刑の神々・精霊物語』
2016年9月ドリス・レッシング『老首長の国』
2016年7月ソポクレス『オイディプス王』
2016年6月巴 金『寒い夜』
2016年5月中島 敦『山月記』
2016年4月フリオ・コルタサル『悪魔の涎・追い求める男』
2016年3月スベトラーナ・アレクシェービッチ『チェルノブイリの祈り』
2016年1月パトリック・モディアノ『1941年、パリの尋ね人』
2015年11月ウィモン・サイニムヌアン『蛇』
2015年8月パトリック・シャモワゾー『素晴らしきソリボ』
2015年7月M.A.アストゥリアス『グアテマラ伝説集』
2015年5月リュドミラ・ウリツカヤ『通訳ダニエル・シュタイン』
2015年2月遅 子建『アルグン川の右岸』
2014年11月アンドレイ・クルコフ『ペンギンの憂鬱』
2014年8月エイモス・チュツオーラ『やし酒のみ』
2014年6月ローラン・ビネ『HHhH プラハ、1942年』
2014年3月アリス・マンロー『イラクサ』
2013年11月老舎『駱駝祥子(らくだのシアンツ)』
2013年8月アブラハム・B・イエホシュア『詩人の、絶え間なき沈黙』
2013年6月ボフミル・フラバル『あまりにも騒がしい孤独』
2013年4月ミゲル・シフーコ『イルストラード』
2013年1月ガルシア=マルケス『百年の孤独』
2012年11月アディーチェ『半分のぼった黄色い太陽』
2012年9月アティーク・ラヒーミー『悲しみを聴く石』
2012年7月オルハン・パムク『雪』
2012年5月ヘルタ・ミュラー『狙われたキツネ』
2012年3月円城塔『道化師の蝶』
2012年1月ジェーン・オースティン『高慢と偏見』
2011年12月カミュ『ペスト』
2011年6月~10月ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』より「大審問官」


★好きな本

  • ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』、『分身』
  • レフ・トルストイ『戦争と平和』、『イワン・イリイチの死』
  • ソルジェニーツィン『ガン病棟』、『煉獄のなかで』
  • オースティン『分別と多感』、『エマ』
  • ディケンズ『デイヴィッド・カパフィールド』、『大いなる遺産』
  • サリンジャー『ライ麦畑でつかまえて』、『フラニーとゾーイー』

★読みたい本



(最終更新:2020年11月8日)